TOKYO GOURMET
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2008年
ラクガキ
     

Vol.1:秘薬

テレビ局の海外特派員である叔父が赴任先から帰ってきた。
彼はいつも突飛な土産を探してくる。
今回おれには、茶色の小瓶に入った、顆粒状の薬をわけてくれた。
ただの薬ではない。
いろんな物を裸の女に変えてしまう、とんでもない秘薬である。

「いいか、まず水を張った洗面器を用意しろ。無ければ鍋でもいい。そこにこの薬を大さじ一杯分水に溶かす。そうしたらどんな物でも、好きな物をその中に沈め、五分待つんだ。女に変わるぞ。あっ、注意しろよ、一時間経つと元に戻るからな」

早速おれはお気に入りのマグカップで試すことにした。
水を張った鍋をキッチンの床に置き、薬を溶かし込む。マグカップを浸して五分待つと、叔父の言うとおり、全裸の女が姿を現した。
二の腕やウエストがぽちゃぽちゃとだらしなく、あひる口で大きな眼をした女は、キョトンとした顔でおれを見つめている。
迷うことなくおれは女を押し倒す。
一時間で三回交わり、女は元のマグカップへと戻った。

夜になり婚約者の佳代が来る。
手料理をご馳走したいと、昼間メールが届いていた。
「待っててね。すぐできるから」
「うん。調味料は流しの上に色々あるから、適当に使っていいよ」
彼女がキッチンへ入っていったので、サッカーの試合を観るために、おれはテレビの電源をいれた。

0対0のまま前半が終わり、試合はハーフタイムに入る。
料理が気になりキッチンを覗くと、そこには堆く積まれた死体の山があった。
茹であがり赤くパンパンに膨れた女たちの一番下で、ぺしゃんこに潰れ、佳代は死んでいる。

しばらくすると、女たちの死体はパックリ口の開いたあさりに姿を変えた。
味噌汁用に使っていた小さな片手鍋と、蓋の開いた茶色の小瓶が、傍らに転がっている。
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