ここでは、言語学、記号論、構造主義、認知心理学っぽい話を書こうと思います。えい、や〜っとかなり荒っぽくやりますので、えっと、参考程度に読んでいただけると嬉しいです。というわけで、第3回目、いってみましょう!
■Vol.3:ことばがモノを存在させる
もう少しつっこんだ話をしますね。
日本語のネイティブスピーカーは、日本語のシステム内で使用されることば群(例えば"山""川""空""海"など)によって世界が構成されていると信じています。でもそれって日本語という言語システムの持つ「モノ」の範囲を適応しているから、ただそう感じるだけにすぎないんですよね。
僕は高校・大学を通しアメリカで6年ほど生活していました。当然英語を使い生活をしていたわけですが、英語で考え話すことで、日本語のそれとは全く違う世界の区切り方を体験していたんです。英語に"mountain" "river" "sky" "sea"は存在します。でも"山""川""空""海"は存在しないんです。つまり"mountain" が意味する範囲と"山"が意味する範囲は同じじゃないってことなんです。同じ理由で、"兄"という「モノ」は、その「ことば」を含む言語システム(ここでは日本語)で世界を区切っている人々の意識の中にのみ存在し、その「ことば」を含まない言語を使う人々にとっては実在しない「モノ」です。
僕の友達には星が大好きな男がいます。オタクと言ってもいいくらいめちゃめちゃ知識が豊富で、星座にも超詳しい。彼の場合デートの誘い文句は当然のごとく「星を見に行きませんか?」なわけですが、また女性にもウケがいいわけですよ。星座の見方を知らない彼女には、いくら星空を見上げたところでいつまでたっても星しか見えない。でも、友人には夜空のそこかしこにギリシャ神話の登場キャラクターである"オリオン"や"白鳥"、"さそり"などが見えているわけで、それを神話に絡めて愛の告白なってされちゃったら、そりゃあ「素敵〜!」ってなりますよね。
激しく脱線してしまいましたが、何が言いたいのかというと、星の見方(区切り方)は人それぞれ自由なんだってことです。星座を作り出したギリシャ人だって、星空に好き勝手線を引き、区切ることで星を紡いだわけで、僕の友人はたまたまそのシステムを知っていたし、彼女はそのシステムを知らなかっただけです。もっと言うなら、星座を知らない彼女は、「オリオンっていうよりは砂時計に似てるから、砂時計座にしようよ」なんて言って、新しく星を紡いでオリジナルの星座をいくらでも作り出すことができるわけです。
実は「ことば」の仕組みも星座と全く同じなんですね〜。彼女に星座が見えないということは、僕がロシア語を話せないということと一緒です。ただ単にそのシステム、システム内の「モノ」の区切り方を知らないというだけのことですね。「ことば」とは「モノ」の名前ではなく、言語それぞれの区切り方で世界を切りとった結果です。つまり、ある「モノ」という観念があってそれに名前をつけるのではなく、名前をつけることによってある観念が人間の思考の中に存在するようになるのです。(つづく)
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